Art of Vintage     “Jielde Lamp”

 

街の明かり。月明かり。太陽の光。

コンビニのLED、携帯のスクリーン、夜の街灯。
うちに帰ればきっと点いている部屋の灯り。

 

空から見下ろせば点から点へと線を結ぶように、
私たちは毎日、明かりを頼りに生きています。

 

 

明るい時には元気をもらい、暗くなるほどホッと落ち着く。

明かりの持つ不思議な力。

 

音もなくつき、当たり前のようにある身の回りの明かり。

そこにもまた一つの歴史があるようです。

 

こんにちは、ビンテージの今と昔をお伝えします、vintage教授のyujiです。

今回は私たちの身近にある明かりのお話。

 

ご覧のように作業中で手が離せませんが、そんな私を優しく照らしてくれるこのランプ。

フランスが生んだビンテージランプの王様、Jielde Lampをご紹介致します。

忙しくて今回はここから動けませんが、まずはJieldeの生い立ちからお話し致します。

 

Vintage Item 「Jielde Lamp」 デザイナー : Jean-Louis Domecq (ジャン・ルイ・ドメック)

製造 : 1950年代

 

今からおよそ70年前。

自動車の整備士だったジャン・ルイ・ドメックは、
仄暗いフランスの作業場で自身が求めるランプが見つからず、自らその設計に没頭します。

そして遂に完成したジェルデランプは、ポンピドゥセンターで行われた展覧会などにおいて高い評価を受け、

フランスを代表する工業デザインの頂点まで上り詰めたのです。

 

こちらのランプはその製造当初のもの。

タグプレートも初期の一番古いものが付いています。

 

ラウンドした美しいフォルム。

インダストリアルデザインという言葉が生まれる以前から、フランスの工業製品にはどこかアートの気配があります。

そしてその中身もまた、溜息をつくような美しい発明が隠されているのです。

こちらがそのベース部分の内部。お気付きの方もいるかもしれませんが、スイッチの先のコードが途中で途絶えています。

つまりジェルデはなんと、コードレスのライトなのです!

 

ランプまで伸びるバーをつなぐジョイント部分。うっとりするぐらい綺麗なデザイン。

通常ならコードが露出して見えるこの関節部分ですが、実はここにこのランプの値打ちともいうべき仕掛けがあるのです。

 

ジョイント部分に銅のリングを配置してしっかりとプレス、

中心にボルト通すことでトップの電球まで一気に電力を運ぶ画期的なワイヤレスジョイントシステムです。

 

リング状になった関節部分はどこまで回しても電気を伝達する仕組みで、断線という概念がそもそも無いのです。

機能美というのはある意味、力の流れをそのまま形に起こすことで浮かび上がる奇跡のデザインなのでしょう。

 

トップ部分は360度回る仕組み。位置を動かさず天井も照らすことができます。

自由度が極めて高く、ヘッドを動かせばほぼオールエリアに対応。ついつい角度を変えたくなります。

これが1950年代の発明なのです。

当時にこの域に到達してしまったjieldeは工業シーンに留まらず、実に多くの支持を得ることになります。

 

!950’s Jielde desk lamp

もう一つのフロアランプ。1アームのタイプで市場で最も人気のタイプ。 

 

 先ほどのタイプよりほんの少し新しいタイプ。推定60年台後半のモデル。

 

先程ご紹介したものと比べてベースがさらに重厚なタイプ。

このベースが付いているものを見つけるのは本当に難しいのです。

 

もともと作業用ランプとしてデスクにしっかりと固定して使うタイプが多い中、

車のディスクブレーキをベースとして取り付け、どこでも置いても使えるカスタムが主流になっていったのです。

 

もともと自動車の整備士だったジャンらしい発想で、今ではこの形のまま作られている、ジェルデを象徴するデザイン。

このカスタムのままで見つかることは中々ありません。vintage jieldeとなると滅多にお目にかかれない、

本当に希少な個体です。

 

1950’s Jielde Floor Lamp

 

最後はこの5アーム。現在ではリビングのインテリアとして高い人気を誇るジェルデ。 

このフロアランプは一種のステータスと言えるでしょう。

ソファの傍に、部屋の片隅に。

 

そっとリビングにおけば部屋のグレードや雰囲気を一気に高めてくれる、

まさに魔法のランプ。

手に入ると言ったら如何でしょうか?

 

最後にこのスイッチをもう1度。

しっかりと固く、パチンとメタリックな音を立てて電気を点けてくれます。

 

現在では明かりをつけるのもシンプルなボタン式が多く、

中には部屋に入るだけで点灯してくれるものもあるようです。

 

好みは様々ですが、教授はこのスイッチが1番好きなのです。

 

当時の大発明を作動させるアクション。

説明抜きに、こんなにドキドキするパーツは他にはありません。

この音がまるで自分までも起動させるような、そんな手応えがあるのです。

革命の音をもう1度、その手で是非。

 

 

1950年にこのライトが生まれた時に、

横浜にはガス灯が灯っていました。

 

現在も近くの馬車道では日没から深夜0時まで毎日、

当時と変わることなくガス灯の光が夜の街を照らしてくれています。

 

明かりの今昔を大切にする街で、

海の向こうからやってきたビンテージランプを、胸を張ってご案内したいと思います。

 

 

デザインが生活にもたらすもの。

それは特権的で替えの利かない、とても豊かな力です。

 

毎日の暮らしに、とっておきの明かりをもう一つ。

きっとどんなお部屋にも溶け込むことでしょう。

気になる方はvintage教授に会いにいらして下さい。

 

いやあ、古いものっていいものですよね。

また好きになってしまいました。

 

それでは明日も横浜で、あなたのご来店をお待ちしています。

 

yuji

 

 


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