PLAYING YOKOHAMA! “vintage hotel編”

 

皆さんこんにちは。

ビンテージの今と昔を伝えます、vintage教授のyujiです。

不定期連載でお届けするこのコラム。

第一回目のジャパンエキスプレスビルに続き、

第二回目の今回はPLAYING YOKOHAMA! “vintage hotel編”としてお送りいたします。

 

タイトルの通り今回は「横浜を遊ぼう!」

 

枚挙に暇がない横浜の名スポット達を私たちと一緒に遊んで頂く中で、

旅の最大の楽しみとも言うべきホテル。

今回は誰もが憧れるとっておきのビンテージホテルをご紹介致します。

 

 

「ホテルニューグランド」

言わずと知れた横浜の代名詞とも言うべき歴史あるホテルです。

今回はこちらに滞在させて頂きました。

 

早速その在りし日の姿を。

 

 

 建築名 「HOTEL NEW GRAND」  建築家 : 渡辺 仁

建造年  1927年 (昭和2年)

 

昭和2年誕生。

新しい時代の幕開けと共に生まれた、時の象徴とも言えるこの建物は、

まさに人々の希望そのものと言えます。

横浜を代表する近代建築の礎の一つ。

それでは中に入っていきましょう。

 

 

本館入口の回転ドアには向い合う鳥のマーク。

何かのシンボルでしょうか。

 

扉を抜けるとすぐに現れる大階段と青絨毯。通称”ニューグランドブルー”

凛とした空気。ここだけ時が止まっているかのようです。

 

登り切ると古いエレベーターの上に大きなシチズンの時計。

やはり時が止まっているような、何か別の空間にいるように感じます。

ローマ数字の大時計の上には京都の綴織「天女奏楽之図」。

 

和洋折中の美しい装飾。

ここにも1対の鳥のモチーフ。

 

伽藍の灯篭がいくつも下がる天井。

煌びやかな現代ホテルとは全く違う、

趣を大切にした日本人らしいデザインがどこか誇らしい。

 

横浜家具が並びロビーに気品が漂う。

高級であるのに人を遠ざけない、不思議なバランス。

 

ほっと一息ついてしまう。

クラシックなロビーから見る外の景色は、先程まで自分がいた場所と違って見えます。

さて、次はどこへ行こうか。もう少し探検してみます。

 

迷い込んでしまった先は教会でした。

今日も誰かが式を挙げるのでしょうか?

 

入り口の上にも鳥のシンボル。

 

ニューグランドでよく見かけるこの鳥のモチーフは不死鳥フェニックス。

選ばれた経緯は、遡ってホテルニューグランドが生まれた1927年へ。

 

1923年に関東大震災で壊滅的なダメージを受けた横浜。

 

人々が離れていく中、再びこの地に観光客を迎え入れようと、

復興のシンボルとして建てられたのがホテルニューグランドなのです。

 

震災によって焼失してしまった横浜を代表するホテル、「グランドホテル」の名前を引き継ぎ、

「ホテルニューグランド」と名付けられました。

 

これは復興後、ニューグランドから眺めた山下公園と大桟橋。

世界への表玄関として再び横浜が活気づくのも束の間、太平洋戦争が勃発。

戦後、GHQに接収されるなどニューグランドは激動の歴史を歩む事となります。

 

現在では再び、日本を代表する観光地として見事に復興を遂げています。

 

マッカーサーが滞在していた315号室は今も「マッカーサーズスイート」として親しまれ、宿泊することができます。

75年前、来日して真っ先に向かった本館の315号室からコーンパイプを咥えてこの景色を眺めていたのでしょうか。

 

倒れても何度でも蘇る不死鳥は復活の象徴として建造当初から愛用されており、ホテルの至る所で見つける事ができます。

 

今年で開業92周年を迎えるニューグランド。

この街の歴史をずっと見続けてきたホテル。

 

間もなく建築100年の長き歩みのに思いを馳せながら、

少しだけ自分の人生を振り返ってみたり。

 

すっかり暗くなったニューグランドで物思いに耽りながら向かった先は

 

バー「シーガーディアンⅡ」

 

当時の横浜に停泊していた客船の中にはバーがあったといいます。

シーガーディアンはその舟の中のバーをイメージして作られました。

 

代表的なカクテル「ヨコハマ」

 

この建物と同じくらいの歴史を持ち、世界最古のカクテルブックにも載っていながら、

一体誰が作ったかは謎に包まれているカクテルなのです。

 

そしてシーガーディアンには珍しい特徴がもう一つ。

ここで飲むカクテルは、実は当時のままの調合で作られているのです。

まさにビンテージフレーバー。

 

ニューグランドには国内、海外と数々の著名人が訪れています。

チャーリーチャップリン、ベーブルース、そしてダグラス・マッカーサー。

 

日本の文豪である大佛次朗(おさらぎじろう)が10年間滞留していたという逸話の中で、

毎晩のように通ったシーガーディアンで頼んでいたカクテル「ピコンソーダ」があります。

 

「今では飲みやすくなっていますが当時は苦くて飲めず、彼はざくろのシロップを入れて

ソーダ割りで飲んでいたようです」と教えてくれたのは、

チーフバーテンダーの太田さん。

大佛スタイルで、とリクエストすればそのように出しくれるそうです。

 

今から考えればもっと洗練された調合やテイストがあるかもしれませんが

優劣ではなく、長く受け継がれてきたニューグランドの味を楽しむのです。

古き良き、とはきっとこういう事なのでしょう。

 

今夜もここではひっそりと誠実にビンテージフレーバーが守られ続けているのです。

 

 

一夜明けて再び散歩。

吹き抜けになった中庭に出られます。

ここはガーデンチャペルも行われるようですが、いつでもふらっと立ち寄る事ができます。

 

気持ちのいい朝。

通りの喧騒もここへは届きません。

 

。。。少しお腹が空きましたね。

遅く起きた後のブランチには、暖かいドリアを。

 

実はこの「ドリア」というのもここニューグランドが発祥の地。

喉越しが良いものをというお客様のリクエストを受け、

当時のシェフたちが即興で作ったのが始まり。

 

暖かくてほっとする優しい味。

疲れた体に染み渡ります。

 

デザートはフラッペを。

とろとろのマンゴーと優しい甘さのアイスのたまらない組み合わせ。

お好みで練乳をかけて。

 

名残惜しくてもう少し散歩。

先ほど眺めていた山下公園が目の前に。

まさに最高のロケーションでのんびりと。

 

ロビーでほっと一息。

すっかり去り難くなってしまいました。

建物と人と、どちらも本当に素晴らしかった。

 

旅行の醍醐味にもう1つ、出会いがあると思います。

素敵なホテルマンの方々、バーやロビーで偶然隣り合い、また会いたいなと思うこと、

意気投合し親友ができたりするのも旅行のいいところ。

 

そして新しい自分に出会うことも。

ほんの少しの時間で、いつもと違う空気を吸い込み、一気に何かが見えてきたりする事がありますよね。

横浜を遊ぶ中で、そんなきっかけが皆さんに訪れますように。

 

 

ということでお届けしましたPLAY YOKOHAMA!如何でしたでしょうか?

知っているようで知らなかった横浜と、少しづつ縁を深めていける気がしました。

ハマのマッカーサーから受け取ったバトンは、意外にも本物から託されたものだったかもしれませんね。

 

 

調べれば調べるほどエピソードの尽きないニューグランドホテル。

余談になりますが、実は私の妻の大切な祖母がその昔ここで結婚式を挙げていたのでした。

なぜか迷い込んだチャペルは新設されたのものですが、

もしかしたらこのタイミングで遊びにおいでと導かれたのかもしれませんね。

今と昔と、そして人を結ぶ建物。

今日も賑やかに、暖かく人を迎えてくれるのです。

 

いやあ、古いものっていいものですよね。

また好きになってしまいました。

 

 

 

ちなみにニューグランドではこの夏、

先ほどご紹介した本館2Fをバーラウンジとしてオープンする日もあるようです。

その名も「Twilight Lounge THE LOBBY」

日によってはジャズの生演奏もあるとか。

これは楽しみ。また行かなくては。

 

それではまた次回。

今週も横浜でみなさんをお待ちしております。

 

 

yuji

 

 


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